【プレコンセプションケア】検査でわかる将来の妊娠・出産リスクとは?

皆さんは、「プレコンセプションケア」という言葉をご存知でしょうか?


妊娠をする前に行う検査ですが、出産を希望される方にとって、自分の体のことを事前に知っておくことは大切ですよね。


今回はプレコンセプションケアの検査内容などについて、医師に詳しくお話をお伺いしました。


プレコンセプションケアとは

将来的に妊娠・出産を希望している男女向けに行われる、生殖機能関係に重点を置いた健康診断のことです。

コンセプションとは赤ちゃんを受胎するという意味です。

従来はブライダルチェックと呼ばれ、これから結婚しようというタイミングで受ける場合が多かったです。

しかし、具体的に結婚や出産をすぐしようとは思っていなくても受けやすいようにということで、WHO(世界保健機構)の提唱に基づき、国立成育医療研究センターではプレコンセプションケアと名付けた検診プランを提供しています。


プレコンセプションケアが受けられる施設と費用


受けられる施設

プレコンセプションケアと名付けた健康診断は、現在は東京の国立成育医療研究センターでしか受けられません。

似た内容のブライダルチェックは全国の産婦人科や泌尿器科、健康診断センターなどで提供されています。

費用

症状がない人が対象であり、健康保険は適応されず自費となります。

1万円〜3万円台程度が多いようです。

妊娠・出産の妨げになりやすい要因

痩せ過ぎ

肥満が健康に良くないのは誰もが知っていますが、痩せ過ぎも妊娠には望ましくありません。

BMIが18を切るようであれば、もう少し体重を増やしたほうがよいかもしれません。プレコンセプションケアでは、栄養状態についても相談することができます。

子宮疾患

妊娠を難しくするのが本人の自覚症状に乏しい疾患としては、子宮の奇形や子宮筋腫があります。超音波検査で分かります。

風疹

風疹の抗体価が低い場合、妊娠してしまってから判明すると、妊娠中に感染することで胎児に疾患を起こす可能性があります。妊娠前に風疹ワクチンを接種することで予防することができます。

男性不妊

不妊の原因の半分は男性にもあると言われています。精液検査に抵抗感を感じる男性も多いですが、早く判明すれば時間を無駄にせずに適切な治療を行うことができます。

プレコンセプションケアの検査内容


女性の生殖機能

超音波検査と内診による子宮・卵巣の状態のチェック、ホルモン値の血液検査、子宮内膜症の検査、卵巣年齢を反映するAMHの採血検査など

男性の生殖機能

精液検査、ホルモン値の血液検査など

がん検診

乳がん、子宮がん、子宮がんの原因となるHPVなど

性感染症、母子感染する病気

肝炎、HIV、梅毒、風疹、クラミジア、淋菌など

一般的な健康状態

腎臓や肝臓の機能、貧血

やせ、肥満、生活習慣病に関係する項目

体重身長、栄養状態、血圧、脂質(コレステロールや中性脂肪)、体脂肪測定など

内分泌疾患

不妊の原因となり得る甲状腺疾患、糖尿病など

自己免疫疾患

膠原病、不育症の原因になる抗リン脂質抗体症候群など

最後に医師から一言


性感染症については、もしカップルのどちらかが感染していた場合、自覚のないままに互いに感染させてしまう可能性があります。そのため、プレコンセプションケアはパートナーにとってもメリットがあります。


今まで詳しい健康診断を受けたことがなかった、若い健康な方が、妊娠出産を意識してブライダルチェック・プレコンセプションケアを受けることで、早く自分の状態を知り、今後の対策につなげていくことができれば大変有用と思います。


(監修:Doctors Me 医師)