
【Let's Talk-Time】Vol.1 子宮頸がんについて、どのぐらい知っている?
健康の気になることについて当事者が語り合う座談会T-PEC Let's Talk-Time(レッツトークタイム)を開催しました。
第1回目 では、「子宮頸がんについて、どのぐらい知っている?」をテーマに25~26歳の一般女性に参加いただき、意見交換しました。本音でいろいろお話を聞いて、子宮頸がんの早期発見啓発活動をしていると、見落としがちな意見や気付きも多くありました(大井)
<概要>
【Let's Talk-Time】Vol.1 子宮頸がんについて、どのぐらい知っている?
開催日:2022年2月8日(オンライン開催)
参加者:なおさん、 なつきさん、みのりさん
ファシリテーター:藤森香衣さん、大井美深(ティーペック社員)
子宮頸がんといえば「ワクチン」のイメージ
でも、ワクチン接種に関しては「たぶん、あの筋肉注射?」
――「子宮頸がん」といえば、どんな印象がありますか?
この最初の質問では、満場一致で「ワクチン!」になりました。それは、高校生のときに子宮頸がんのワクチンを受けたことが理由でした。その時の思い出について聞いてみると、
なおさん:私は高校生の時に、自治体から案内がきて母に勧められて接種しました。母が明確な意見があったというよりはその案内が来たので勧めてくれたのかなと思います。
なつきさん:私も同じく母からです。特に子宮頸がん自体についての知識も、情報も知らない状態でした。思い返すと、教えてもらうきっかけもなかったですね。
みのりさん:私も接種しているのですが、実はそんなに子宮頸がんのワクチンを接種したという実感もなく…「たぶんあの筋肉注射だったかな?」というイメージです。部活のみんなで痛かったね!と話したことは覚えています。
3人ともワクチンを接種していましたが、特に情報や知識があったわけではなく、「受けるものなのかな?」という流れで接種していたことが意外でした。「悩んだけど接種した」「いろんな情報を調べた」などの大井さんと事前にしていた予想とは違って意外でした。(藤森さん)
そういえば…ワクチン接種しても検診は受けたほうがいいの?
オプションをつける選択ではなく会社補助で「健康診断に含まれる」になればハードルは下がる
――子宮頸がんの検診は受けていますか?
なつきさん:かかりつけ医に定期的に行くのでそこで受けています。
なおさん:会社の健康診断のオプションで受診しています。費用補助があると受けておこうかなと思えます。
みのりさん:実は検診受けたことがありません。きっかけがなかったということもありますが…あと、ワクチン接種していても検診って必要なのかな?という疑問もあって…
ここで3名の回答が分かれました。なつきさんはかかりつけ医、なおさんは会社の健康診断のオプションで、そしてみのりさんは検診を受けたことないという結果に。検診自体がどうしても嫌という意見はありませんでした。(大井)
「“子宮頸がんのワクチンを接種したから検診は受けなくても大丈夫かも”この意見を聞いて、たしかにこのように思っている方は多いのかもしれないと気付かされました。」(藤森さん)
――ちなみに、会社の検診補助がなかったらどうでしょう?
なおさん:検診台に乗るのに覚悟が必要なので…自分で決めて自費でやるという選択肢になると毎年はオプションで受けないかもしれません。
他の2人とも同じ意見で、会社がオプションとしてつけておいてくれたら、定期健診の1つとして自然な流れで受けても、自分でやるかやらないか?と聞かれると悩んでしまうかもしれません。(大井)
「若い子にとって自己負担で数千円払い検診を受けて、“何もなかったね”は、本当は安心だけど、健康な世代にとっては何もないことを確認することに積極的になれないのもわかります。健康な時は、楽しいことにお金使いたいよね。」(藤森さん)
婦人科選びは「女医さんがいるところ」を希望
きっかけがあれば友人同士で情報交換もする
――婦人科は選びの基準はありますか?
なつきさん:かかりつけ医は、母が通っているクリニックに勧められるがままに行ったので自分で選んだわけではありません。親もよく知っている先生だからハードルがなかったけど、自分で調べて行けって言われると難しいと思います。
選ぶ基準は「患者と真摯に向き合う医師」がいること。人によって良い医師の条件は違うと思いますが、私は評判がいくら良くても口コミで「態度が…」と書かれている医師は苦手です。
なおさん:私は定期券内で行ける女医さんがいるところが絶対条件でした。その条件からクリニックのHPを見比べて決めました。HPがイマイチのところは外していましたね。
―――絶対に女医さんがいいという人はいますか?
この質問も全員が女医さんを希望という結果になりました。(大井)
なつきさん:私の行っているクリニックでは、HPに「本日の担当は男性医師です」などと書かれています。なので、女医さん希望の人が多いんじゃないかな。でも、男性医師の担当の日も患者さんはたくさん来ているので人によるのかなって思います。
みのりさん:私は周りに詳しい人がいるわけではないので、格付けサイトとか口コミ頼りにネットで探しますね。できれば、幽霊とかでなさそうなきれいな施設がいいですね(笑)
――子宮頸がんや女性特有の健康トラブルは誰に相談しますか?また友人同士で話題にでることはありますか?
なおさんとなつきさんは、具体的に何かあったら相談するのは、まずは親に相談と回答してくれました。
みのりさん:親にはあまり相談しないかもしれません。自分からは相談しないけれど、相談を聞くことはあります。
なおさん:子宮頸がんの検診の時期は同僚と「あー、いやだねー」みたいな話題にはなりますね。生理の話はよく出ます。お腹が痛いとか相談されて、「大丈夫?」みたいな会話です。
なつきさん:子宮頸がんの話はないですが、女性特有のことはきっかけがあれば話題に出ますね。例えば、旅行中とかにピルを飲んでいる友人がいたら、「自費?」「副作用ある?」「どんな症状が抑えられる?」みたいな実用的な情報を話すことが多いです。婦人科も検診目的では探さなくても、旅行と生理が重ならないようにコントロールするなどの目的なら積極的に行くイメージがあります。
「同じ女性でも生理が重い・軽いで会話頻度に差があると思います。重い人は自動的に毎月体調が悪いので周りに伝えるし、周りも気付く。軽い人は言わない。女性で一括りにせずにこの違いも考慮して啓発していくのも大切と改めて気付きました。あとはやはり話す・話せるきっかけが必要ですね。」(藤森さん)
もしものときの不安を解消するのは「知識・情報」
健康があたりまえ世代にどうやって啓発するのがいいのか?
――もしも、子宮頸がんと診断されたらはじめに思い浮かぶ不安は何ですか?
なおさん:子供産めなくなる可能性かなと思います。どうしても結婚したいとか欲しいからと言うより、選択肢がなくなることが怖いです。
みのりさん:普段の生活ができるかどうか。後遺症や予後とか想像できないので、今まで通りの生活ができるのか…が気になります。
なつきさん:私は診断を聞いた瞬間、メンタルにきて、そのメンタル不調から日常に支障が出そうなのが不安ですね。落ち着かなくてネットで検索魔になりそうです。
「実際に、子宮頸がん検診で高度異形成と診断されて“死んでしまう!”と数時間泣き続けている人もいます。もともと、知識を持っていれば、不安は減るんじゃないかなと思っているのですが…健康な若い子たちがどうやったら情報聞いてくれるのかなって、いつも考えています。」(藤森さん)
―――皆さんのような25歳ぐらいの層に子宮頸がんや健康情報を届けたいとき、どうすれば興味を持ってくれるか、何かアイデアいただけますか?
なつきさん:今、この座談会参加した後だったら、セミナーに片っ端から参加しちゃうかも(笑)
でも、パンフレットもらっただけでは読まないと思います。子宮頸がんに関して興味レベルが低い時期だったら「子宮頸がん啓発セミナー」より、何かのイベントがメインでその中で少し教えてもらえるぐらいが参加はしやすいです。
なおさん:興味あるイベントなら参加します。オンラインやYouTubeライブなど家から参加できるぐらいのイベントが参加しやすいです。SNSのつぶやきで感想を交換しながら視聴などもいいですね。
みのりさん:私は、好きなインフルエンサーやYouTuberからトレンド情報もらっているので、そのような同世代の著名人が「子宮頸がん」というキーワードに少し触れるだけでも影響があると思います。自然に情報としてインプットされます。
キーワードとしてSNS、YouTubeが出てきました。正確な情報を伝えることはもちろん必要ですが、キーワードさえ知れば自ら「検索」で情報をとりにいくフットワークが良い世代なので、まずは「子宮頸がん」というキーワードをインプットしてもらうことが必要とわかりました。(大井)
最後に!ちょっと聞きたいT-PECサービスのこと
――婦人科を探すときや、ちょっとした健康トラブルの相談先として保険の付帯サービス「24時間(電話)健康相談」は選択肢に入りますか?
なおさん:保険加入していますが、実際にトラブルがあったときに、思い出さないかもしれません。思いつけば選択肢には入ります。
みのりさん:知っていたら使います。自分のネット検索能力を信用していないので専門家に聞くのが一番良いと思っていて、病院に問い合わせもするぐらいなので、電話することにハードルはないです。
なつきさん:そもそも「付帯サービス」の存在を全く知りませんでした(笑)
それ使えたらいいですよね!電話相談、セカンドオピニオン手配…いいこと尽くしじゃないですか!! お得ですよね。看護師さんに相談できるのがいいです。母も知らないと思うので教えてあげようと思います。
「私も乳がんり患の時に知っていたら絶対使いたかったサービスです。若い世代の利用は電話相談だからハードルがあるのではなく、そもそも知るきっかけがないですよね。20代だと保険もまだ加入してない人も多いこともありますよね。でも、彼女たちの親は健康問題が出てくる世代でもあるので、子供から親、親から子供への健康サービスの情報共有はしてほしいです。」(藤森さん)
※付帯サービスとは?
メインの保障と別に、加入者が無料もしくは割安な料金で利用できる補助的なサービスです。サービス内容・詳細は加入先の保険会社、健康保険組合等により異なります。 T-PECの付帯サービスが利用できるかどうかはT-PECサービス利用確認センターから確認できます。
――T-PEC子宮頸がんNAプロジェクトという情報サイトを運用しています。自己検査キットでできる子宮頸がん検査も申し込めるサイトですが、検査キットについて感想をください(参考:PAPI’Qss )。
なおさん:自分で検査ができるキットがあることは知っていましたが、怖すぎて選択肢にはありませんでした。具体的な値段ははじめて知りましたが想像より高いと感じました。会社などで無料配布があっても婦人科での検診を選ぶと思います。でも、体験談や同世代のタレントやYouTuberからの配信などがあれば、少しは身近に感じられるかもしれません。
みのりさん:私はそもそもこのような検査キットがあるとは知りませんでした。個人的には、病院に行く手間が省ける点で良いと感じましたが、この値段をかけてまで…と考えると利用しないかな、と思います。会社で無料配布するなら、従業員それぞれの考えもあるので、婦人科での検診を推奨して、手段の1つとしてキットの存在を伝えるのが良いと思います。
私もなおさんと同じ意見です。以前、月経カップのような自分では検索しないようなアイテムを紹介している方がいて、内容として入ってきやすいと感じたことがあります。
YouTuberやインスタである程度のフォロワーをもつ女性やブロガーの方が、実際やってみたレビューを書いていたら読んでみたいです。
なつきさん:そうですね、子宮頸がんの初期症状は実際どんなものがあるのか…今まで以上に情報が身近になったらキットも需要が出てきそうな予感がします。
もし、私にかかりつけ医がいなかったらネットで調べてハードルの高い婦人科にかかる前に検査キットで検査してから、婦人科に行く可能性はあります。でも、自分で検査して結果を見ても不確かかも…と思って、医師に検査してもらう方が確実かも…と葛藤はしそうです。
たしかに、自分で検査するのも怖さもありますよね。でも、自宅でできる便利さもあるのもわかります。検診を受けないだけはやめてほしいので、選択肢の1つとしては知っておいてほしいと思っています。今後は、体験談や動画など身近に感じてもらえるような情報配信をしますね。(藤森さん)
―――皆さま、貴重な意見ありがとうございました!
■ファシリテーター/藤森香衣
モデル活動、NPO法人 C-ribbonsを設立、代表理事を務める。T-PEC子宮頸がんNAプロジェクトで企画・取材・執筆を担当
■事務局・記事/大井美深
ティーペック株式会社の広報担当。T-PEC子宮頸がんNAプロジェクトの情報サイトを運用