
子宮頸がんはワクチンで予防しよう!自分の体を守るための大切な話
女性しか発病しないがんに子宮がんや卵巣がんがあります。
がんの治療方法は年々進歩しており、早期に治療したり、予防することも可能になってきました。
女性特有のがんの一つ、子宮頸がんではワクチンが開発されています。今回は子宮頸がんとワクチンについて解説します。
子宮頸がんとは
子宮がんの一種
子宮頸がんは、子宮の出入り口である頸部にできるがんです。女性の子宮は梨のような形になっており膣と体外でつながれています。
この膣と子宮をつなぐ部分が子宮頸部です。子宮がんには子宮体がんと子宮頸がんの2種類があり、かかりやすい患者の年齢など、いくつか違う特徴があります。
こんな症状が出る
子宮頸がんは初期症状が少ないですが、次のような症状が出ることがあります。
・不正出血(生理でないときの出血)
・性行為をしたときの出血
・おりものが増える、悪臭がする、色が変わる
・足腰が痛い
・尿に血が混じる
・排尿が困難になる
子宮頸がんの原因
性交渉によるウイルス感染が原因
多年の研究により、子宮頸がんはヒト乳頭腫ウイルス(ヒトパピローマウイルス、HPV)というウイルスに感染することが原因で発病すること多いことがが判明しています。
子宮頸がんのおよそ50~70%がHPVへの感染によるものであるといわれています。
ただし、このウイルスは特別なものではなく、性交渉のある女性であれば、およそ8割が感染するとも言われていますが、通常は感染しても体外へ排出されるため、子宮がんの発病には至りません。
ウイルスが何らかの原因で体内に残ってしまった場合に、ウイルス感染した細胞ががん細胞になっていくと考えられています。
HPVに感染した状態が長く続くと、細胞は異形成といって歪んだ細胞になります。これがさらに進行するとがん化する細胞が出てきます。
いわば異形成の細胞はがんの前段階なので、ここで発見すればがんにならずに済みますし、異形成を予防できればなおさらがん予防効果が高くなると期待できます。
がん検診では、この異形成細胞をいかに早く見つけるかがポイントになっています。
かかりやすいのは比較的若い女性
子宮頸がんは、20代など若い年齢の女性にも多い病気です。
20~50歳代の患者が多いですが、20代、30代の患者も増えてきており、この世代の女性がかかるがんとしては一番多くなっています。
早期に治療開始すれば治癒率が高い
がんは早期に発見すれば治癒率が高い病気です。特に子宮頸がんは、早期治療を行なうことで比較的治りやすいがんといわれています。
早期発見、早期治療が鍵になります。早期発見のために最も重要なのは定期健診を受けることです。そして、予防としてはワクチン接種があげられます。
子宮頸がん予防ワクチンとは
子宮頸がんワクチンが作られた理由
子宮頸がんはがんの中でも珍しく原因が特定できていますから、予防することが可能になりました。
特定のウイルスに感染することが原因だと分かっているので、ウイルスに対する予防、すなわちワクチン接種が有効になります。
HPV感染を予防することで、子宮頸がんを予防するのが子宮頸がん予防ワクチンです。
子宮頸がんワクチンの種類と接種方法
現在認可されている予防ワクチンは2種類あり、接種は任意です。
予防ワクチンによる効果を大きくするために、一定の間隔を空けて3回接種します。
小学校6年生から高校1年生の年齢に相当する女子については、公費で接種することが出来ます。詳しくは厚生労働省のサイトで確認しましょう。
参考:厚生労働省「ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がん(子宮けいがん)とHPVワクチン~」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/index.html
回数、費用など
今のところ、公費助成対象年齢以外の方は任意接種となり3回で約5〜6万円ほどかかります。
助成の対象になるか、また、接種できる医療機関については、お住まいの自治体に確認しましょう。
子宮頸がんワクチンの予防効果
子宮頸がんの予防率
ワクチンを接種すれば高い確率で子宮頸がんが予防できますが100%ではありません。ワクチンがきかないHPVもあるからです。
また、このワクチンが開発されてから日が浅く、細胞ががん化するには数年〜10年近くかかるため、十分な追跡調査がまだ出ていません。
くわえて、HPVワクチンに対する評価はさまざまで、近年はワクチンをどう評価するかを巡る動きが複数あります。
今後、ワクチンがどのように活用されるのかも変わっていくことが予想されます。
その他の病気も予防できる
接種するワクチンによっては、HPV感染によって引き起こされる次のような病気の予防にも効果が期待できるものもあります。 詳しくは、自分が接種する医療機関に確認しましょう。
・外陰上皮内腫瘍
・腟上皮内腫瘍
・尖圭コンジローマ
子宮頸がんワクチン接種の副反応
どのワクチン接種にも副反応のリスクがあります。子宮頸がん予防ワクチンの場合、次のような服反応が報告されています。
・接種部位の痛み、腫れ、かゆみ
・発熱
・じんましん
・筋肉痛
・しびれ
・湿疹
・アナフィラキシー
子宮頸がんワクチンで自分の健康を守ろう
医療が発達して、がんも予防が期待できるようになりました。
1980年代に子宮頸がんの原因が明らかになり、今世紀に入りHPVワクチンが開発されてから、まだそれほど年月が経過していないので、ワクチンの効果や治療への活用などについて、現在も、世界各国で研究と開発が続けられています。
近年はHPVワクチンを巡る動きが複数あり、今後評価が変わっていくことも予想されます。ワクチン接種について正しく理解し、自分の健康は自分で守っていけるようにしたいですね。
参考:
厚生労働省「HPVワクチンQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/qa_shikyukeigan_vaccine.html
(監修:Doctors Me 医師)
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