
生理不順は病気の前兆?生理の正常範囲を復習しよう
女性が長くお付き合いすることになる生理(月経)。妊娠や出産に関わるだけではなく、女性の体調にも大きく関わっています。
妊娠や出産の時期以外は、毎月定期的に来る人ばかりかというとそうではありません。
生理がきちんとしたサイクルで来ないことを生理不順と言いますが、生理不順が症状のひとつである病気もあります。
今回は女性の生理と、生理不順に関係のある病気についてお伝えします。
そもそも生理とはどういうもの?
女性は10代前半ごろに第二次性徴の時期を迎え、身体が子供から大人に変化します。つまり妊娠や出産に向けた準備が整い始めるのです。
この頃、卵巣から分泌される女性ホルモンには2種類あり、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)といいます。
卵巣からのホルモン分泌は、脳の視床下部というところでコントロールされており、個人差はあるものの約28日前後の周期で分泌されます。
エストロゲンの分泌がピークになると、卵巣から排卵が起こります。それに並行して、プロゲステロンが増加し受精卵のベッドとなる子宮内膜が厚くなり、基礎体温を高く保ったりと受精卵に良い環境を作ります。
しかし、妊娠しなかった場合には、プロゲステロンの分泌は徐々に減少し、不要になった子宮内膜は血液と一緒に排出されてしまいます。これが生理(月経)です。
生理不順の症状は?
生理の正常周期は約1か月であり、生理期間も約7日前後です。そのサイクルから外れてしまうような場合を生理不順と言います。生理不順にもいくつかの種類があります。
無月経
妊娠などの理由がないのに3か月以上生理が来ないことをいいます。
稀発(きはつ)月経
39日以上という長期サイクルの場合を稀発月経と言います。
頻発月経
生理周期が24日以下という短期サイクルになることを頻発月経と言います。
過長(かちょう)月経と過多月経
生理期間が8日以上と長く続く状態を過長月経といいます。また、過剰に出血量が増える、経血にレバーのような塊が混じる、生理痛がひどいなどの場合は過多月経といいます。
過短(かたん)月経と過少月経
生理期間が2日以内と極めて短い場合を過短月経といい、経血がほとんどないような状態で終わってしまうような状態を過少月経といいます。
生理不順が関係する病気
生理周期は、卵巣ホルモンの分泌周期や分泌量により、また脳の下垂体によってコントロールされています。
生理が順調ではないということは、どこかでコントロールがうまくいっていない可能性があり、たとえ若い世代であっても怖い病気が隠れていることがあるので注意が必要です。
卵巣機能不全
卵巣の機能が低下していると、卵胞がうまく成長できなかったり、排卵が遅れてしまったりして、その結果として生理も遅れていくという悪循環を招きます。
卵巣の機能は加齢に伴って低下していきますが、若い年代でも、ダイエットやストレス、睡眠不足や運動不足など生活習慣が乱れることが影響するともいわれています。
子宮筋腫
子宮にできる良性の腫瘍のことをいいます。子宮の筋肉や粘膜下にできますが、場所は人それぞれで、生理不順や、経血量の増加などが起こりやすくなります。
子宮内膜症
病名からは、子宮内部の膜に炎症が起こるように感じますが違います。子宮内膜にあるはずの組織が、卵巣や腸管といった子宮以外の場所で発生してしまう病気です。
本来は子宮の中にあるはずの組織ですので、女性ホルモンの影響を受けます。生理時には強い下腹部痛や腰痛を招いたり、生理不順を招きます。
子宮頸がん
膣と子宮腔をつなぐ場所にできる悪性腫瘍です。いわゆる「がん」です。ヒトパピローマウイルスというウイルス感染で発症します。症状が進むと生理不順や不正出血といった自覚症状が現れます。
甲状腺の病気
甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンは卵巣などにも影響を与えているため、生理不順を起こすと言われています。
加齢による卵巣機能低下は生理不順を招く
40代後半ごろから、閉経を迎える女性が増えてきます。その前後約10年を更年期と呼びます。
閉経前は、加齢によって徐々に卵巣機能が低下していくため、生理周期が乱れてきます。
生理までの期間が長くなったり、ゆっくりになったりと不規則になってくるのです。また、経血量も多かったり少なかったりします。
加齢によって現れる症状ではありますが、生活に支障が出るほどの症状の場合もありますし、更年期だと決めつけていて怖い病気が隠れている場合もあります。
更年期は長期間に渡ることもありますので、かかりつけの婦人科をみつけて受診相談をしていくことが大切です。
生理不順を甘くみない。婦人科受診を定期的に。
最初は気にしていた生理不順も、受診を先延ばしにしているうちに当たり前に感じてしまい、結果として症状が重くなって治癒に時間がかかったり、手遅れになってしまうことすらあります。
また、疾患によっては不妊に繋がっている場合もあります。婦人科は若い世代にこそ定期的に通ってほしい場所です。とはいえ受診に気持ちが向きづらいのもわかります。
しかしながら、最近は女性専門の外来も増えてきました。女性医師が担当していたり、カウンセリングを丁寧に行ってもらえるなど、病院側も様々な工夫をしています。
お友達と一緒に受診するもの良いかもしれません。また、家族の方からも気軽に受診を進めてみてはいかがでしょう。
(監修:Doctors Me 医師)
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